投資初心者が一番知りたい米国株の高配当銘柄の選び方|良い株と悪い株の特徴

はじめに

投資家が高配当株を選ぶ際の重要なポイントは、単に配当利回りが高いというだけではなく、配当の安定性株価の割安さも考慮する必要があるということです。
長期的に安定した配当を分配している企業を選ぶことが推奨されています。
また、適切なタイミングで購入することも非常に重要です。
これらの要素を総合的に判断することで、投資家はより安全で持続可能な投資を行うことができることでしょう。

モーニングスター(Morningstar,Inc.)の見解

Morningstar, Inc.は、イリノイ州シカゴに本社を置くアメリカの金融サービス会社で、1984年にジョー・マンスエトによって設立されました。この会社は、様々な投資調査および投資管理サービスを提供しています。

モーニングスターは29か国で事業を展開しており、その調査と推奨は金融ジャーナリストや資産運用業界において大きな影響力を持っています。モーニングスターのアナリストによる肯定的または否定的な推奨は、特定のファンドへの資金の流入や流出を引き起こす可能性があります。また、同社は資産運用部門を通じて、2023年3月31日現在で2,950億ドルを超える資産を運用しています。

モーニングスター・インデックスのストラテジストであるダン・レフコビッツ氏は、「高配当株の購入や利回りの高さを重視する際には、慎重な選択が重要です」と強調しています。
彼は、利回りが高いだけの銘柄を追い求めると、不安定な配当や、配当自体を出し続けることが不可能になってしまう状況「配当トラップ」に陥ってしまう危険性があると警告している。
このようなトラップにハマってしまうと、期待していた配当が突然減少したり、もらえなくなってしまうこともあり、個人投資家にとって大きな損失を招く可能性があります。そのため、持続的で信頼できる配当を提供する企業を適切に選ぶ必要があります。

さらに、モーニングスターのDividendInvestorの編集者であるデイビッド・ハレル氏も、配当戦略に積極的な経営を行う企業や競争優位性、いわゆる「エコノミック・モート」を持つ企業を優先することを提案しています。彼は、「エコノミック・モートの評価が高い企業は、長期にわたり安定した配当を支えることが多いです」と述べています。このような企業は、競争環境が厳しい中でもその地位を維持し、安定した収益を上げ続けることができるため、配当の持続性が高まります。

高配当株おすすめ銘柄10選

モーニングスターのDividend Yield Focus Indexを基に、2024年10月4日時点で少なくとも5%割安とされる銘柄を以下に挙げます。これらの銘柄は、安定した配当を提供し、長期的に成長が期待できる企業です。

  1. エクソンモービル (XOM)
    配当利回り:3.04%
    石油・ガス業界のトップ銘柄であり、安定した配当を続ける「配当貴族」として知られています。現在の株価は目標価格の8%割安であり、長期的な投資に適しています。エクソンモービルは、エネルギー需要の増加に伴い、持続的な成長が見込まれています。
  2. シェブロン (CVX)
    配当利回り:4.25%
    石油・ガス統合大手で、長期的な安定配当と成長が期待できる銘柄です。シェブロンも「配当貴族」に分類されており、投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
  3. AT&T (T)
    配当利回り:5.07%
    通信サービス業界のリーダー的存在であり、通信やブロードバンド分野での成長が見込まれています。現在は割安で取引されており、将来的な配当増加が期待されます。
  4. メルク (MRK)
    配当利回り:2.81%
    医薬品業界の大手企業で、強力な特許を持ち、安定した財務基盤が特徴です。メルクは、研究開発に注力し、新薬の投入を通じて成長を追求しています。
  5. ペプシコ (PEP)
    配当利回り:3.12%
    飲料とスナック分野で競争優位性を持ち、長期的な配当支払いが期待できます。ペプシコは、ブランド力と製品多様性を活かし、安定した成長を続けています。
  6. アルトリア (MO)
    配当利回り:7.90%
    タバコ産業で高い配当利回りを提供し、価格優位性と強力なキャッシュフローを維持しています。アルトリアは、非タバコ製品への多角化も進めており、将来的な成長が期待されます。
  7. メドトロニック (MDT)
    配当利回り:3.15%
    医療機器分野で安定した配当と成長が期待できる銘柄です。メドトロニックは、革新的な医療技術を提供し、世界中での需要が高まっています。
  8. ダウ (DOW)
    配当利回り:5.06%
    化学製品の大手で、業界での競争優位性があり、現在は割安で取引されています。ダウは、持続可能な製品開発に注力しており、環境への配慮も重要視しています。
  9. リヨンデルバセル (LYB)
    配当利回り:5.35%
    化学製品分野のリーダーで、安定した配当増加が見込まれています。リヨンデルバセルは、グローバルな市場での競争力を維持しつつ、効率的な生産体制を構築しています。
  10. T.ロウ・プライス (TROW)
    配当利回り:4.55%
    資産管理分野の大手で、安定した配当支払いが特徴です。T.ロウ・プライスは、顧客のニーズに応じた投資戦略を提供し、長期的な信頼を築いています。

モーニングスターDividend Yield Focus Indexについて

このインデックスは、米国市場の高配当株の中でも、財務が安定しており、モーニングスターのエコノミック・モート評価と不確実性評価を通過した優良株のみを追跡しています。このインデックスに含まれる企業は、投資家にとって信頼性の高い高配当株を選ぶための指標となり、リスクを抑えた投資が可能になります。投資家は、このインデックスを参考にすることで、より安全で持続可能な投資戦略を構築することができるでしょう。

高配当株への投資は、安定した収入源を求める投資家にとって魅力的な選択肢ですが、慎重な選定が求められます。企業の財務状況や市場環境をしっかりと分析し、長期的な視点で投資を行うことが成功の鍵となります。

良い株と悪い株の特徴

良い株の特徴

  1. 安定した収益性
    良い株は、長期にわたって安定した収益を上げている企業の株です。売上や利益が一貫して成長していることが重要です。
  2. 強固な財務基盤
    健全なバランスシートを持ち、負債比率が適切であることが求められます。自己資本比率が高く、流動比率も良好な企業は、経済の変動に対しても耐性があります。

    一般的な平均値は「0.5~1.5倍」であり、1.5倍以上になると、負債が多く、リスクが高いと見なされることがあります。
    これは、ひとつのポイントにすぎません。決して、負債比率だけで判断するのはやめましょう。
  3. 持続可能な競争優位性
    他社に対して明確な競争優位性(エコノミック・モート)を持つ企業は、長期的に安定した利益を上げる可能性が高いです。特許やブランド力、ネットワーク効果などがこれに該当します。
  4. 配当の安定性
    定期的に配当を支払っている企業は、株主に対する信頼感を与えます。配当の増加が継続している企業は、投資家にとって魅力的です。
  5. 適正な評価
    株価が企業の実際の価値に対して割安であることが重要です。ファンダメンタルズに基づいた適正評価がされている株は、投資のリターンが期待できます。

悪い株の特徴

  1. 不安定な収益性
    売上や利益が不安定で、業績が大きく変動する企業の株はリスクが高いです。急激な業績悪化が見込まれる場合、投資は避けるべきです。
  2. 高い負債比率
    財務状況が悪化している企業は、負債が多く、利息の支払いが困難になる可能性があります。これにより、経営の安定性が損なわれることがあります。
  3. 競争優位性の欠如
    競争が激しい市場で、他社に対して明確な優位性がない企業は、利益を維持するのが難しいです。市場シェアの低下や価格競争にさらされるリスクがあります。
  4. 不安定な配当政策
    配当を支払わない、または配当の減少が見込まれる企業は、株主に対する信頼感を損ないます。配当の不安定さは、企業の経営状態を反映していることが多いです。
  5. 過大評価
    株価が企業の実際の価値に対して過大評価されている場合、価格調整が起こるリスクがあります。高いPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)は注意が必要です。

    では、PERがどれくらいの数値だと高いのかというと、一般的な基準値は「15~20倍」とされています。
    これを踏まえた上で、15倍以下の場合は割安株とみなされることが多いです。
    しかい、20倍以上の場合は、割高株とされることがありますが、成長企業の場合は高いPERでも許容されることもあります。

    さらに、PBRの一般的な基準値は「1~3倍」とされています。
    PBRが1倍以下の場合、企業の資産に対して株価が安いとされ、割安と見なされることがあります。これに対し、3倍以上の場合は、成長期待が高い企業とされることが多いですが、過大評価のリスクもあります。

良い株と悪い株の特徴を理解することで、投資判断をより適切に行うことができるでしょう。
これらの基準値はあくまで一般的な目安であり、業種や市場環境によって異なる場合があります。特に成長企業や特定の業界では、これらの指標が高くなることがありますので、慎重に分析することが重要です。何より、投資は自己責任です。

まとめ

高配当株選びの際には、特に経済の不確実性が続く中で、投資家がポートフォリオに割安で質の高い高配当株を加えることは、リスクを低減する手段となります。

質の高い企業は、経済が不安定な時期でも配当を維持できる強固な財務基盤を持っており、割安に購入することで価格変動リスクも抑えられます。
加えて、分散投資をすることでリスクヘッジすることも大切です。

投資家は、こうした企業を選ぶことによって、ポートフォリオ全体の安定性を高めることができるのです。投資を行う前には、しっかりと学習に取り組みましょう。投資ではなくギャンブルにならないために…