65歳を過ぎても働き続ける人が増える中で、「傷病手当金は65歳以降も受給できるのか?」という疑問を持つ人は多いでしょう。また、老齢年金との関係や、併用した場合の支給調整についても理解しておくことが重要です。本記事では、65歳以降の傷病手当金の受給可否、退職後の扱い、老齢年金との関係、支給調整の仕組みについて詳しく解説します。これを読めば、傷病手当金を活用しながら老後の生活を守る方法が分かります。
傷病手当金の基本とは?支給条件と申請手続きを解説
病気やケガで働けなくなったとき、収入が途絶えるのは大きな不安ですよね。そんなときに役立つのが「傷病手当金」です。この制度を正しく理解し、必要なときにスムーズに申請できるようにしましょう。
傷病手当金とは?
傷病手当金は、健康保険に加入している人が病気やケガで働けなくなった際に、生活を支えるために支給される給付金です。
- 対象者:会社員(健康保険加入者)
- 目的:病気やケガで働けない間の収入補填
- 支給期間:最大1年6か月
支給条件は?
傷病手当金を受給するには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
✅ 業務外の病気やケガで仕事を休んでいる(労災対象外)
✅ 連続する3日間の待機期間を含め、4日以上仕事を休んでいる
✅ 給与の支払いがない、または給与より傷病手当金の方が多い
✅ 健康保険に加入している(退職後も条件によっては受給可能)
💡 ポイント:待機期間の3日間は有給休暇でもOK!ただし、土日を含めて3日間連続して休む必要があります。
支給額の計算方法は?
傷病手当金の1日あたりの支給額は、以下の計算式で求められます。
📌 支給額の計算式
👉 直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3
例えば、標準報酬月額が30万円の場合:
✅ 30万円 ÷ 30日 × 2/3 = 約6,600円/日
✅ 1か月(30日間)で約19万8,000円が支給される計算になります。
申請手続きの流れ
傷病手当金を受け取るには、申請が必要です。手続きの流れを確認しましょう。
1️⃣ 「傷病手当金支給申請書」を準備(健康保険組合または協会けんぽのHPからダウンロード)
2️⃣ 医師の診断書を記入してもらう
3️⃣ 会社に申請書を提出し、事業主の証明をもらう
4️⃣ 健康保険組合(または協会けんぽ)に申請書を提出
5️⃣ 審査後、約1〜2か月で支給開始
💡 ポイント:毎月申請が必要なので、定期的に手続きを忘れないようにしましょう!
傷病手当金は、働けないときの大切な生活支援制度です。支給条件や申請方法をしっかり理解し、必要なときに迷わず申請できるよう準備しておきましょう!
65歳以降の傷病手当金は受給できる?退職後の扱いも詳しく解説
65歳を過ぎても働き続ける人が増えている中で、「傷病手当金は65歳以降も受給できるのか?」という疑問を持つ人は多いでしょう。さらに、退職後の扱いについても正しく理解しておかないと、受け取れるはずの給付を逃してしまう可能性があります。ここでは、65歳以降の傷病手当金の受給条件や、退職後の対応について詳しく解説します。
65歳を過ぎても傷病手当金は受け取れる?
結論から言うと、65歳以降も傷病手当金を受け取ることは可能です。ただし、年齢によって支給の可否が変わるため、以下のポイントを押さえておきましょう。
65歳以降でも傷病手当金が支給されるケース
- 会社員として健康保険に加入している
- 業務外の病気やケガで働けなくなった
- 支給条件を満たしている(待機期間3日間+4日以上の欠勤など)
💡 ポイント:65歳を超えても会社員であり、健康保険の被保険者であれば傷病手当金の対象になります。ただし、「高齢者医療制度(後期高齢者医療)」に移行すると、傷病手当金の対象外となるため注意が必要です。
65歳で退職すると傷病手当金はどうなる?
退職後も一定の条件を満たせば、傷病手当金を受給し続けることができます。
退職後も傷病手当金を受給できる条件
- 退職前にすでに傷病手当金の受給を開始している
- 退職日に「健康保険の被保険者」である
- 退職後も引き続き労務不能の状態が続いている
💡 ポイント:退職後に初めて申請することはできません。必ず在職中に受給を開始しておく必要があります。
老齢年金と傷病手当金の関係は?
65歳になると「老齢年金」と「傷病手当金」の関係が気になりますよね。
老齢年金を受給すると傷病手当金が調整されるケースあり
💡 ポイント:障害年金と傷病手当金は同じ趣旨(所得補償)のため、原則として両方受け取ることはできません。
65歳以降に傷病手当金がもらえない場合の対策
もし傷病手当金を受け取れない場合でも、他の公的支援を活用することで生活を安定させることが可能です。
✅ 障害年金(病気やケガが長引く場合に支給)
✅ 雇用保険の「高年齢求職者給付金」(退職後に一定額が支給)
✅ 生活保護(資産や収入が基準を満たせば受給可能)
💡 ポイント:事前に他の制度を確認し、傷病手当金が受け取れない場合の備えをしておきましょう!
65歳を過ぎても傷病手当金を受給できるケースはありますが、退職後は受給のハードルが高くなるため、事前に制度をしっかり理解しておくことが大切です。老齢年金との関係や、他の支援制度も考慮しながら、万が一に備えた準備を進めましょう!
老齢年金と傷病手当金は併用可能?支給調整の具体的な仕組み
老齢年金を受給しながら、病気やケガで働けなくなった場合、「傷病手当金も受け取れるのか?」と疑問に思う方は多いでしょう。結論として、老齢年金と傷病手当金は基本的に併用できますが、一部制限がある場合があります。 ここでは、支給調整の仕組みをわかりやすく解説します。
老齢年金と傷病手当金は基本的に併用可能
✅ 老齢基礎年金・老齢厚生年金 → 傷病手当金と併用OK!
✅ 障害厚生年金・障害基礎年金 → 傷病手当金は支給停止
💡 ポイント:障害年金と傷病手当金は「どちらも生活補償のための制度」なので、両方の同時受給は認められません。
支給調整の仕組みとは?
年金と傷病手当金を併用できる場合でも、受け取る金額が減額されるケースがあります。
減額調整が発生するケース
- 老齢年金+傷病手当金の合計額が、標準報酬日額を超える場合
- 傷病手当金の金額よりも、老齢年金の方が多い場合 → 傷病手当金は不支給
計算例
- 標準報酬月額:30万円
- 1日あたりの傷病手当金:6,600円
- 老齢年金の月額:10万円
👉 傷病手当金(約19万8,000円)+年金(10万円)= 29万8,000円 → 標準報酬月額を超えないため減額なし!
💡 ポイント:老齢年金の金額が少なければ、傷病手当金の減額調整はほぼ発生しません。
併用する際の注意点
⚠ 退職後の傷病手当金は要注意!
- 退職後も傷病手当金を受け取る場合 → 老齢年金と調整が入る可能性あり
- 会社員時代は併用OKでも、退職後は減額や不支給になることも
⚠ 障害年金を受給している場合は受け取れない
- 障害基礎年金・障害厚生年金を受給中なら、傷病手当金は支給停止
💡 ポイント:老齢年金との併用は可能でも、退職後の傷病手当金や障害年金の併用には制限があるため注意が必要です!
老齢年金と傷病手当金は基本的に併用できますが、収入状況や退職後の扱いによっては減額や支給停止が発生する場合があります。自分の受給条件をしっかり確認し、最適な形で制度を活用しましょう!
65歳以降、傷病手当金をもらえない場合の代替手段と活用できる制度
65歳を過ぎて傷病手当金を受け取れない場合、他の支援制度を活用することで生活の不安を軽減できます。ここでは代表的な代替手段を紹介します。
障害年金:病気やケガが長引く場合の支援
✅ 対象:長期間働けない状態の人
✅ 内容:障害の程度に応じて年金が支給
📌 ポイント
- 初診日が年金加入中であれば申請可能
- 2級以上なら障害基礎年金、3級なら障害厚生年金が受給できる
高年齢求職者給付金:退職後の生活支援
✅ 対象:65歳以上で雇用保険に加入していた人
✅ 内容:失業手当の代わりに一時金を支給
📌 ポイント
- 雇用保険の加入期間が1年以上必要
- 30日または50日分の一括支給
生活保護:収入がない場合の最終手段
✅ 対象:収入や資産が基準以下の人
✅ 内容:最低生活費の支援(医療費も負担免除)
📌 ポイント
- 条件を満たせば、高齢者も受給可能
- 生活費だけでなく、家賃補助や医療扶助も含まれる
介護保険サービス:日常生活が困難な場合の支援
✅ 対象:要支援・要介護認定を受けた人
✅ 内容:訪問介護やデイサービスの補助
📌 ポイント
- 介護保険料を支払っていれば利用可能
- 自己負担は1割~3割で済む
自治体の高齢者支援制度
✅ 対象:自治体ごとの条件を満たす高齢者
✅ 内容:医療費助成、交通費補助、住宅支援など
📌 ポイント
- 自治体によって支援内容が異なる
- 役所や福祉窓口で確認できる
傷病手当金が受給できなくても、他の制度を活用すれば生活を安定させることが可能です。状況に応じた支援を検討しましょう。
高齢者が安心して病気と向き合うための生活資金と社会保障の活用法
高齢になると病気のリスクが高まり、医療費や生活資金の不安が大きくなります。特に、収入が年金のみの場合や、突然の病気で働けなくなった場合には、適切な制度を活用することが重要です。ここでは、高齢者が病気と向き合うための生活資金の確保方法や社会保障の活用法を紹介します。
医療費負担を軽減する制度を活用する
✅ 高額療養費制度:1か月の医療費が一定額を超えた場合に自己負担額が軽減
✅ 後期高齢者医療制度:75歳以上の医療費負担が原則1割(所得によって2~3割)
✅ 医療費控除:年間10万円以上の医療費を支払った場合、確定申告で税金が還付
💡 医療費が高額になった場合は、負担を軽減できる制度を確認しましょう。
生活資金を確保する方法を考える
年金以外の収入源を持つ
資産を有効活用する
- リバースモーゲージ(持ち家を担保に資金を借りる)
- シニア向けローン(低利で資金を借りる)
💡 年金だけに頼らず、資産を活用することで生活の安定につながります。
介護が必要になったときの費用負担を考える
✅ 介護保険制度を活用
- 介護認定を受けると、訪問介護やデイサービスの費用が1~3割負担で利用可能
✅ 介護費用の備え
- 民間の介護保険に加入
- 介護付き有料老人ホームの選択肢を検討
💡 介護が必要になった場合の費用対策を早めに考えておくことが大切です。
公的支援制度で生活費の補助を受ける
✅ 特別障害者手当:重度の障害がある場合、月額約2.8万円を支給
✅ 生活福祉資金貸付制度:低所得の高齢者向けに無利子または低金利で資金を貸付
✅ 住居確保給付金:一定条件を満たせば家賃補助が受けられる
💡 生活費が不足する場合は、公的支援制度の利用を検討しましょう。
病気のリスクに備えるための保険を見直す
✅ 医療保険の保障内容を確認
- 高齢者向けの終身医療保険に加入しているかチェック
- 特定疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞)に対応した保険を検討
✅ 加入済みの保険を活用
- 生命保険の「リビングニーズ特約」を利用して、生前に保険金を受け取る
💡 無駄な保険を見直し、本当に必要な保障を確保することが重要です。
病気や介護のリスクに備えながら、生活資金を確保するために、適切な制度や資産の活用方法を考えておきましょう。
結論
65歳以降も健康保険に加入していれば、傷病手当金の受給は可能です。ただし、退職後は一定の条件を満たさなければ継続受給ができず、老齢年金との支給調整が発生する可能性があります。 特に、障害年金を受給している場合は傷病手当金が支給停止となるため注意が必要です。高齢になってからの病気やケガに備えるためにも、制度の仕組みを正しく理解し、早めに対策を考えておくことが大切です。