金融機関とは?
金融機関
金融機関は、金融ビジネスを業務とし顧客に対して各種の金融サービスを提供する企業または組織である。
中央銀行を除いて、1.金融(仲介)の形式(直接金融、間接金融、ハイブリッド金融)、2.預金(預金通貨)の取り扱いの有無、3.公的金融機関か民間金融機関かという観点で分類できる。
なお、金融業という場合、広義には、資金融通機関(銀行、協同組織金融業)、資金取引の仲介機関(貸金業、質屋、クレジットカード業、割賦金融業、住宅専門金融業、証券金融業、ファクタリング業者、金融商品取引業、商品先物取引業など)、補助的金融業(短資会社、手形交換所、両替業、信用保証機関、前払式証票発行業者、債権管理回収業者など)や信託業を含む。
日本の金融機関
日本の金融機関の種類と規制
<中央銀行>
日本銀行は、日本の中央銀行であり、日本銀行法に基づいて運営されています。
<民間金融機関>
預金取扱金融機関(普通銀行、信託銀行、協同組織金融機関)と、証券会社や保険会社などのその他の金融機関に分かれます。
日本郵政や商工組合中央金庫は公的金融機関とされることもあります。
<預金取扱金融機関>
普通銀行:都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、ネット専業銀行などに分けられる。
長期金融機関(信託銀行):信託業務を行う。
協同組織金融機関:信用金庫、信用組合、農業協同組合など、非営利の金融機関。
<その他の金融機関>
証券金融会社、保険会社(生命保険、損害保険)などがあり、保険業法に基づいて運営されます。
<共済団体>
保険に似た保障制度を提供する非営利法人。例:JA共済(農業協同組合系)、JF共済(漁業協同組合系)など。
<公的金融機関>
政府系金融機関として、日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫などが存在。
その他の業態と法規制
金融商品取引法や貸金業法、消費者金融、信販会社(クレジットカード)など、さまざまな法規制の下で運営される金融機関がある。
<広告規制>
1990年まで、金融機関の広告活動は非常に厳しく規制されていました(テレビ、ラジオでの広告禁止)。
1990年以降、広告規制は緩和され、1991年からはテレビ広告が解禁されました。現在では、金融機関も他企業と同様にテレビ番組の提供や広告活動が可能になっています。
ネット専業銀行について
さて、その中でも生活に密着してきているネット銀行を取り上げてみたい。
「ネット銀行を使っている人が多い気がするけれど、ネット銀行って安全なの ?」
「そもそもネット銀行ってよく分からない」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ネット銀行とは、実店舗を持たず、オンライン上でのみ銀行サービスを提供する金融機関のことです。
一般的な銀行と同様に、預金、引き出し、振込、口座振替、ローンなどのサービスを提供していますがインターネット上での取引を中心として営業している銀行のことを言います。
金融庁では「ネット銀行」という区分で業態や免許を分けていませんが、都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、外国銀行のほか「その他」という区分を設けています。
「その他」として金融庁で区分されている中でも、ゆうちょ銀行やイオン銀行のようなネット上ではなく、商業施設内にリアル店舗を構えて営業している金融機関も含まれるため、そうした銀行を除いたインターネット専業銀行としては
・auじぶん銀行
・GMOあおぞらネット銀行
・住信SBIネット銀行
・セブン銀行
・ソニー銀行
・大和ネクスト銀行
・PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)
・楽天銀行
・ローソン銀行
(五十音順)
があげられます。
さらにその勢いはとどまることがなく、
・みんなの銀行
・UI銀行
など新しい銀行が続々登場しています。
近年、店舗型の銀行もインターネットバンキングを提供していることが多いですが、ネット銀行とインターネットバンキングの違いは何でしょうか。
ネット銀行は、実店舗を持たず、すべての銀行業務をインターネット上で行う金融機関のことです。つまり、オンライン専業の銀行です。
一方でインターネットバンキングは、従来の銀行が提供するオンラインサービスのことです。つまり、既存の銀行がインターネットを利用して提供するバンキング機能です。
ただし、インターネットバンキングの場合は、インターネットバンキング利用料が別にかかることが多く、それに対してネット銀行は、無料で利用できることが多いです。
ネット銀行は、店舗型銀行に比べていくつかの大きなメリットがあります。以下に挙げられたメリットとデメリットを一つ一つ詳しく見ていきましょう。
<手数料が低い>
ネット銀行の最も大きなメリットの一つは、手数料が低いことです。店舗型銀行は、実店舗を維持するために高い運営コストがかかり、その分手数料が高めに設定されていることが一般的ですが、ネット銀行は実店舗を持たないため、その分コストが抑えられ、低い手数料を実現しています。
例えば、法人口座で振込手数料を比較すると、店舗型銀行では他行宛ての振込手数料が500〜600円程度となるのに対して、ネット銀行では145〜300円とかなり安価に設定されています。また、ネット銀行では、一定の条件を満たすことで振込手数料やATMの入出金手数料が無料になる場合も多いです。このようなサービスを活用することで、大きなコスト削減が可能になります。
<利便性が高い>
ネット銀行のもう一つの大きなメリットは、その利便性の高さです。ネット銀行は、原則として24時間365日、インターネットを通じていつでも取引が可能です。店舗型銀行は営業時間が限られているため、15時までに窓口で手続きをしなければならないことが多く、特に忙しいビジネスパーソンにとっては不便です。
一方、ネット銀行では自宅やオフィス、外出先でもインターネット接続さえあれば取引ができるため、時間や場所に縛られません。この「時間に縛られない利便性」は、特に頻繁に取引を行うビジネスユーザーにとって大きな利点です。また、引っ越しや旅行中でも、インターネット環境があれば同様に利用できるため、非常に便利です。
< 金利が高い>
ネット銀行は、運営コストが低いため、その分を利用者に還元する形で金利が高く設定されていることが多いです。普通預金や定期預金において、ネット銀行は従来の店舗型銀行よりも高い金利を提供することが一般的です。例えば、ネット銀行では普通預金でも定期預金でも、店舗型銀行に比べて数倍高い金利が適用されることがあります。
これは、ネット銀行が物理的な支店を持たないことで節約できたコストを、利用者に還元しているためです。預金を増やしたいと考えている人にとって、ネット銀行は非常に有利な選択肢となります。
<便利なサービスが多い>
ネット銀行は、便利なサービスが豊富であることも特徴です。自動入金設定や定期的な振込、投資信託の購入など、多くの手続きをオンラインで簡単に設定することができます。これにより、銀行に出向いて手続きをする手間が省け、業務の効率化にもつながります。
さらに、スマートフォンアプリを使って口座の残高確認や取引履歴の確認、各種設定が簡単に行える点も大きな魅力です。アプリの使いやすさや機能が充実しており、日常的な銀行取引が非常にスムーズに行えます。
次にネット銀行にはいくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットについて詳しく説明します。
<実店舗がない>
ネット銀行の最大のデメリットの一つは「実店舗がない」点です。対面での相談やサポートができないため、顧客が直接銀行員と話して問題を解決することはできません。何かトラブルが発生した場合や、急ぎの相談が必要な場合、電話やオンラインチャットを通じた対応に頼ることになります。これにより、対面での直接的なサポートを重視する人には不向きと言えるでしょう。
加えて、ネット銀行は原則として24時間365日オンラインで取引が可能ですが、顧客対応の電話サポートが平日9時から17時までの間に限られることが多い点も注意が必要です(緊急対応は24時間可能な場合もあります)。対面サポートがないことに不安を感じる方には、リアル店舗を持つ銀行の方が適しているかもしれません。
<現金の取扱いが限られる>
ネット銀行では、現金を取り扱う際に制限がある場合が多いです。現金の入出金は、主に提携するコンビニや他の銀行のATMを利用することになります。しかし、これらのATMを使う際には手数料が発生することが多いため、現金取引を頻繁に行う人には不便さを感じるかもしれません。また、ATMの設置場所が限られている場合があり、特に地方に住んでいる場合や、会社の近くにATMがない場合は、現金の取引が不便になる可能性があります。
<セキュリティリスク>
インターネットを介して取引を行うため、ネット銀行にはセキュリティリスクが伴います。フィッシング詐欺やマルウェアに狙われる可能性があり、利用者自身もセキュリティ対策を意識する必要があります。たとえば、インターネットバンキングにログインする際に求められるログインIDやパスワードを忘れたり、間違えて入力したりすると、ログイン制限がかかることがあります。再設定には時間がかかる場合があり、その間はネット銀行を利用できなくなることもあります。
これらのセキュリティリスクに対しては、ネット銀行も高度なセキュリティ対策を講じていますが、最終的には利用者自身が慎重に対応することが求められます。特に、不正アクセス防止のために多要素認証(2FA)の導入など、基本的なセキュリティ対策を怠らないことが重要です。
<一部のサービスが利用できないことも>
一部の口座振替(自動支払い)や税金の受取金口座に対応していなかったりと、一部サービスが利用できない場合があります。
例えば、即日発行のキャッシュカードの窓口での受取や、小切手の取扱などは難しいことがあります。
そのため、ネット銀行を選ぶ場合は、何ができて何ができないのかをご自身で調べて利用するようにしましょう。
< インターネット環境がないと利用できない>
当然ながらネット銀行を利用するためには、ネット環境が不可欠です。
PCのみならず、スマートフォンで利用でき、とても便利なネット銀行ですが、万が一大規模なシステム障害が発生してしまった場合、インターネットバンキングのサービスを利用することができなくなってしまう可能性があります。
まだまだネット銀行は知名度が低いと思われがちですが、近年ではネット銀行をメインバンクとして利用している企業も増えており、これからますますネット銀行を利用する方も多くなるでしょう。