子育てにかかるお金はどのくらいかかるでしょうか。
教育費は、お子さま一人につき1,000万円と言われますが、実際にはお子さまの進路やご家庭の教育方針などによって大きく異なります。教育費のピークを迎えるといわれる大学時代に向けて、お子さまが小さなうちから計画的に準備しておくことが大切です。
また、子どもにかかるお金としては、教育費以外にも衣服や食事やレジャー費など日常的な生活に関わる費用が必要となります。
子供にかかるお金の具体例は?
子どもを育てるのに子供にかかる費用は大きく2つに分けて「教育費」と「養育費」になります。具体的にはどのような費用があるのでしょうか。
養育費とは
広義では、養育費は教育費を含むとされます。法務省によると「養育費」とは、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などの費用のことをいいます。
子育て費用は以下のような調査費目に分かれています。
- 衣類 服飾雑貨費
- 食費生活用品費
- 医療費 保育費
- 教育費
- 預貯金・保険 レジャー・旅行費 など
教育費とは
狭義では、「養育費」は、教育費以外の食費、洋服代、医療費などの子供にかかる生活費を指し、「教育費」は学校の授業料、塾、習い事の費用などといえるでしょう。
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」による学習費総額は、学校教育費、学校給食費及び学校外活動費の合計となります。
学校教育費には授業料、PTA会費、学用品・実験実習材費、通学費などが含まれています。
学校外活動費は家庭教師費や学習塾費などの補助学習費、習い事の月謝などのその他の学校外活動費の合計です。
子供にかかるお金はいくらくらい?
養育費と教育費はどのくらいかかるのでしょうか。ライフスタイルやお子さまの進路によっても異なります。
養育費(教育費含む)はどのくらいかかる?
内閣府の「インターネットによる子育て費用に関する調査(平成22年3月)」によると平均年間子育て費用総額は子供の成長にともない費用がふえていくのがわかります。お子さまが3歳になると年間100万円を超えて、中学生になると約150万円かかっています。こちらは教育費も含めた金額です。ただし、公立小中学校では授業料はかかりません。
高校生の場合
公立校でも授業料がかかります。ただし、就学支援金の制度があるため、受給資格を充たすと実質無償になります。ですが、部活動などの課外活動やスマホ、おしゃれの費用などがより係るかもしれません。くわえて、大学受験に向けた塾・予備校の授業料などもかかると考えますと、中学生よりお金がかかることは充分にあります。
大学生の場合
大学受験から入学前までに100万~200万円というまとまったお金が必要になります。受験から入学までに、出願や受験のための費用、学校への納付金、教材や生活品などの費用がかかります。一人暮らしの場合は、すまい探しの費用も必要となります。
大学生の生活費
大学生の生活費はどのくらいでしょうか。JASSO(日本学生支援機構)「平成30年度学生生活調査」によると、授業料、課外活動費、通学費、食費、住居費などの学生生活費は年間費用の合計では、私立大学で実家暮らしの場合は平均約181万円ですが、1人暮らしをして通う場合は年間で約250万円かかります。
仕送り額は、東京私大教連「私立大学新入生の家計負担調査(2020年度)」によると平均8万2,400円となっており、ひとり暮らしの場合の費用は高くなります。
教育費はどのくらいかかる?
教育費はどのくらいかかるのでしょうか。公立と私立とでは学費が異なるため、お子さまの進学進路によって教育資金は大きく変動します。
幼稚園から大学まですべて公立(大学は国立)のケースの合計額は約1,080万円、すべて私立(大学は文系)のケースの合計額は約2,535万円となります。
幼稚園から高校までの教育費には学校の授業料の他、塾や習い事の費用も含まれています。
大学は、国立、私立の違いの他、学部によっても費用が異なります。理系、医歯系などの費用は文系より高くなります。また、一人暮らしをする、浪人する、留学する、大学院に進学するなどのケースもあり、予定していた金額よりかかることも考えられます。
子ども1人あたり、毎月いくらお金がかかるのか気になることでしょう。
年収300~800万円の世帯における、子ども1人当たりの子育て費用について調べてみました。
世帯年収300~800万円の世帯における毎月の子育て費用の平均は?
子育てにかかる費用は、基本的に子どもの年齢が高くなるにつれて高くなっていくようです。また、世帯年収が低いほど、子育てに必要な費用の負担率が高くなっています。
第1子を基準に、子どもの年齢が未就学から中学生まで、順を追って子育て費用の平均をみていきます。
あくまでも統計を基にみていくため、実際は必ずしも全ての世帯が該当するわけではないことをご容赦ください。
未就学児の場合
未就学児であっても、月当たり子育ての費用には、おおよそ6万円は必要と考えた方がよさそうです。
子育てにかけるお金も年収に比例して高くなっており、未就学児とはいえ、年収800万円以上の世帯は9万円近く子育てに使っているようです。
保育所・幼稚園児の場合
保育所や幼稚園に通うようになると、毎月8万円程度は子育てにお金がかかっているようです。
こちらも年収に比例して子育て費用が高くなっています。特に600万円以降は月当たり10万円以上かかっている世帯も珍しくはないようです。
なお、現在は幼児教育や保育の無償化制度もあるため、保育所・幼稚園に通っている間はもう少し子育て費用を抑えられていることが想定されます。
小学生の場合
小学生の間も、月8万円程度はかかることは想定していた方がよさそうです。
しかし、習い事や受験など家庭の教育方針や環境によっては、大きく跳ね上がる可能性もあります。
中学生の場合
中学生にもなると、子どもの成長や学習内容、学校の活動が高度化していくことから、子育てにかかるお金も高くなり、10万円以上かかることも珍しくないようです。
特に、世帯年収800万円からは15万円以上と、塾や習い事など教育費に多くお金をかけていることが推測できます。
子育て費用の負担を軽減するには?
どの世帯年収においても、年収に占める子育て費用の負担は決して小さくないことが分かりました。
特に、これから子育てを始められる年収300~400万円台の世帯の方においては、不安を感じる方も少なくはないと思います。
しかし現在では、児童手当や自治体による医療費の無償化などをはじめ、国や自治体による子育て制度が少しずつ整備されています。
子育て費用はこういった制度を利用すると、実質的な負担を抑えることができます。
ただ、制度によっては申請しなければ受けられないものもあります。これから子育てを始められる方は、一度子育ての支援制度について自治体に相談してみることをおすすめします。
子育て費用は余裕を持って月6万円程度は考えたい
子育てにかかる費用はおおむね、子どもの年齢や世帯年収に比例して高くなっていくことが分かりました。今回の調査から、乳幼児であっても第1子が生まれると、月当たり6万円くらいは必要だと考えておく方がよさそうです。
子どもの将来のためにも、子育ての費用については、国や自治体の制度を頼りながら計画的に準備していくことをおすすめします。
子供の教育費・養育費を用意する方法
教育費が心配な方も様々なサポート制度と準備方法がありますので、希望される進路にお子さまが進めるように調べてみましょう。
主な利用できる制度・奨学金など
幼児教育・保育の無償化により、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全ての子供たちの利用料が無償化されています。通園送迎費、食材料費、行事費などは必要になります。
児童手当は、0歳~3歳未満は月額1万5,000円、3歳~小学生は1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生は1万円が支給されます。所得制限限度額以上の場合は、特例給付として月額5,000円が支給されます。所得制限は扶養家族の人数で異なりますので、お住まいの自治体に確認しましょう。
児童手当制度の見直しにより2022年10月から、年収1,200万円以上の場合は特例給付の支給が廃止される予定です。
高等学校等就学支援金(年収約910万円未満の世帯が対象)により、国公立高校は授業料負担が実質0円になります。私立学校等の場合、所得に応じ支給額は変わります。各学校の授業料との差額は各世帯での負担となります。
さらに東京都には私立高等学校等授業料軽減助成金事業があります。お住まいの自治体に確認しましょう。
貸与型奨学金(日本学生支援機構)は、定められた基準を満たした人が受けられます。利子がつかない「第一種奨学金」と利子がつく「第二種奨学金」があります。
国の教育ローン(日本政策金融公庫)は、入学前からまとまった金額を借りられます。そのため、入学金に充てることができます。返済は借りた翌月からです。利率は奨学金よりも高くなります。
教育費を用意する方法
教育費を用意する方法には、「貯める」、「運用する」、「贈与を受ける」などの方法があります。
貯める
自動積立定期預金を利用することで自動的にお金が貯まる仕組みを作ることができます。
例えば、児童手当を0歳からすべて積み立てると中学卒業までに約200万円となります。毎月1万円を17年間積み立てると、元本で204万円となり、児童手当とあわせると約400万円貯蓄することができます。
また、学資保険を活用すると、保険料として支払っていくので着実に貯めやすくなります。
生命保険会社の学資保険は、親(契約者)に万が一のことがあったらそれ以降の払い込みが免除され、満期保険金が受け取れます。保険料払込総額に対する返戻率の高さがポイントなりますが、受取時期や保証の範囲なども確認し、ご家族にとって納得できる商品を選びましょう。
運用する
10年以上といったある程度の期間をかけて準備することができれば、運用してお金をふやすことを考えるのも一つの方法です。つみたてNISAを利用すると税制上のメリットがあり一定額まで非課税で運用することができます。年間40万円まで、20年間にわたって投資信託を一定額ずつ積み立てていく制度です。ただし、運用の結果によっては元本を下回るリスクがありますので、金融機関などに相談しながら取り組めるとより良いかもしれません。
贈与を受ける
両親や祖父母に金銭的な余裕があれば、教育資金の贈与を受けることができるかもしれません。親族であっても金銭の贈与を受ける場合、贈与税が発生しますが、教育資金であれば一定の額まで非課税となる制度があります。贈与を受ける際には税理士に相談しましょう。
まとめ
子育てには大きく「教育費」と「養育費」がかかります。教育費は進路や方針によって異なりますが、幼稚園から大学まで公立で約1,080万円、私立なら約2,535万円が目安です。養育費には衣食住、医療費、レジャー費などが含まれます。
子育て費用は年齢と共に増加し、未就学児で月約6万円、小学生で約8万円、中学生では10万円以上かかることもあります。高校は公立でも授業料がかかりますが、支援制度の活用で負担を軽減できます。大学進学時には受験費用や入学金など100~200万円が必要で、私立大学に一人暮らしの場合は年間250万円程度かかることもあります。
児童手当や就学支援金などの公的支援制度を活用できます。また、教育費の準備方法として「貯蓄」「運用」「贈与」があり、学資保険やつみたてNISAなどの活用も有効です。計画的に準備し、将来の負担を軽減することが大切です。