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はじめに
住宅ローンの借入時に必ず直面するのが、「変動金利にするか、固定金利にするか」という選択です。金利はほんの数%の違いでも、長期間にわたって返済する住宅ローンでは、総支払額に大きな差が生まれます。どちらを選べばお得なのか──その答えは単純ではありません。現在の経済状況や将来の金利動向、そしてご自身の家計とライフプランによって、最適解は異なります。この記事では、金融の専門知識をベースに、変動金利と固定金利の特徴やリスク、選び方のポイントを分かりやすく解説します。
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変動金利のメリットとリスクを整理する
変動金利は、金利が半年ごとに見直される仕組みです。一般的に、借入当初の金利は固定金利よりも低く、月々の返済額も抑えられることが多いため、人気の高い選択肢です。しかし、将来の金利上昇リスクがある点は無視できません。金利が上がれば返済額も増える可能性があり、家計を圧迫するリスクがあるのです。特に、景気回復期やインフレ局面では金利上昇が予想されやすく、このタイミングで変動金利を選ぶことは慎重な判断が必要です。
変動金利の仕組みやメリット・デメリット、今後の金利動向、変動金利が向いている方の特徴などを紹介します。
まずはそれぞれの仕組みや違いを理解しておきましょう。
変動金利の仕組み
変動金利とは、借入期間中の適用金利が変動する金利タイプのことです。変動金利を選択すると、市場金利の変動に応じて金利が増減します。
一般的には、半年に一度の頻度で適用金利が見直されますが、すぐに返済額が増減することはありません。5年ごとに、その時点の金利をもとに再計算されるのが基本です。
また、金利が大幅に上昇したとしても、見直し前の返済額の1.25倍以上になることは原則ありません。したがって、見直し後の返済額についても急激に上昇する心配はないでしょう。
住宅ローン利用者の7割以上が変動金利を選んでいることになります。
変動金利を利用する方の割合は、2020年5月の同調査でも60.2%と最も高く、それ以降も全体の6~7割をキープしている状況です。
変動金利が多くの方に選ばれている理由には、長期的に低金利が続いていることが挙げられます。実際に、固定金利では1.5~2%前後の金融機関が多いのに対し、変動金利では0.5%を下回る金融機関が少なくありません。
変動金利の適用金利はどう決まる?
変動金利タイプの金利は、「短期プライムレート」に連動しています。
短期プライムレートとは、金融機関が最優良企業に対して融資を行なう際の最優遇金利のうち、1年以内の短期貸出における金利のことです。短期プライムレートは景気の動向に左右され、特に日本銀行の金融政策の影響を受けやすい傾向にあります。
なお、短期プライムレートは企業に対して融資する際の金利です。そのため、個人が利用する住宅ローンの変動金利では、一般的に短期プライムレートに1%を上乗せした金利を基準金利としています。そして、基準金利から各金融機関での優遇措置により金利引き下げや上乗せが行われたものが、実際に適用されます。
変動金利の5年ルールと125%ルール
変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」が存在します。ここでは、それぞれの概要と注意点を詳しく解説します。
5年ルールとは?
5年ルールとは、金利が変動した場合でも、毎月の返済額が5年間は変わらないという制度です。例えば、35年の住宅ローンを組んでいる場合は5年ごと(5年目・10年目など)に返済額が再計算され、6年目・11年目から新たな返済額が適用されます。
変動金利では、通常は半年に1回の頻度で金利の見直しが行なわれますが、5年間は返済額が一定になるため、家計の負担がいきなり増えることはありません。
ただし、返済額における元金と利息の内訳は変更されます。例えば、金利が上がれば返済額における利息の割合が増えるため、元金の返済ペースが遅くなります。反対に、金利が下がれば返済額における元金の割合が増えて元金の返済が進むため、トータルの返済額が減少します。
125%ルール(1.25倍ルール)とは?
125%ルールとは、金利の見直しによって返済額が増えたとしても、新しい返済額はそれまでの返済額の125%(1.25倍)に抑えられる、というルールです。例えば、毎月の返済額が10万円の場合、金利が大きく上昇しても返済額は12万5,000円を超えません。
反対に、金利が下がった場合は下限なく返済額が下がるため、変動金利のメリットを最大限享受できます。
5年ルールと125%ルールは、元金均等返済には適用されない
前述した5年ルールや125%ルールは、元利均等返済に適用されるもので、元金均等返済には適用されません。元利均等返済は、毎月の支払額を一定にする返済方法で、元金均等返済は、毎月の返済額のうち、元金の額を一定にする返済方法です。
元金均等返済は支払総額に占める利息が元利均等返済よりも少ないメリットがありますが、5年ルールと125%ルールが適用されないため、金利上昇の際は返済額が上限なく増えてしまいます。
変動金利を選択する際には、返済方法の選択にも注意しましょう。
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変動金利と固定金利の違い
変動金利と固定金利の最大の違いは、経済情勢の影響を受けるか否か、という点にあります。
固定金利は、借入期間中の金利が一定になる金利タイプのことで、返済総額と総利息額が契約時点で決まります。そのため、経済情勢により市場金利が変動した際にも、毎月の返済額は変わりません。返済計画を立てやすい点が魅力ですが、多くの金融機関では、固定金利の金利を変動金利よりも高く設定しています。
なお、固定金利には、完済まで金利が変わらない「全期間固定金利型」と、5年間・10年間など借入時に決めた一定期間のみ金利が固定される「固定金利期間選択型」があります。
変動金利のメリットとデメリット
近年、大多数の方が変動金利を選んでいますが、安易に金利タイプを選択するのは得策とはいえません。そこで本章では、変動金利のメリットとデメリットについて解説します。
変動金利のメリット
変動金利の最大のメリットは、固定金利と比較して金利が低いことです。金利が上昇しない限りは返済総額が少なくなり、返済期間の短縮も期待できます。
また、変動金利には支払額の急激な変更を緩和する措置があります。前述したように、支払額が5年間据え置きになったり、見直し後の返済額が見直し前の125%までに抑えられたりするため、毎月の支払額が急激に変わることはありません。
ただし、この緩和措置を採用していない金融機関もあるため、住宅ローンを比較する際には、契約内容の詳細まで確認することが大切です。
変動金利のデメリット
変動金利のデメリットは、金利の変動によって返済総額が変わることです。金利が上昇した場合は返済額が増えて返済期間が延び、当初の返済計画が崩れてしまう恐れがあります。
前述のとおり、5年ルールや125%ルールにより返済額の急激な上昇は抑えられます。しかし、金利の上昇度合いによっては毎月の返済額のほとんどが利息になり、元金がなかなか減らないリスクもあります。
金利がさらに上昇すると未払利息が発生して、ローン残高が増えてしまいます。住宅ローンの残債がある状態で返済期間が終了した場合は、残りを一括で支払わなければならないため注意が必要です。
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固定金利の安心感とコストのバランス
固定金利は、契約時の金利が返済終了まで一定で変わらないという特徴を持ちます。長期的な見通しが立てやすく、将来的に金利が上昇しても返済額が変わらないという安心感があります。一方で、変動金利に比べると金利はやや高めに設定される傾向があり、借入当初の負担が重くなるケースもあります。「安心を買うか、コストを抑えるか」──この選択は、単なる損得ではなく、リスク許容度や家計の安定性に左右されるのです。
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景気動向と金利選びの関係とは?
住宅ローンの金利は、日本銀行の金融政策や市場金利に強く影響されます。たとえば、インフレを抑えるために日銀が利上げを行えば、変動金利の住宅ローンは金利上昇の影響を受けやすくなります。一方、デフレや景気低迷が続けば、金利は長期間低水準で推移する可能性があり、その間は変動金利が有利に働く可能性も。つまり、金利選択にはマクロ経済の知識も重要で、単なる「今の金利」だけで判断するのは危険です。
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ライフプランと返済戦略で選ぶ最適金利
住宅ローンの選び方は、単に金利の高低だけではなく、自分のライフプランとの整合性が重要です。たとえば、共働きで今後も収入が安定して増える見込みがあれば、多少の金利上昇リスクを取って変動金利を選ぶのも選択肢です。一方で、子どもの教育費や老後資金などの支出が重なる予定がある場合には、返済額が一定の固定金利のほうが家計管理しやすくなります。繰上返済を予定している場合も、早期返済に向いている金利タイプを選ぶのが有効です。
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ミックスローンという第3の選択肢
実は、変動金利か固定金利かだけでなく、その両方を組み合わせる「ミックスローン(ミックス型)」という選択肢もあります。たとえば、借入額の半分を固定金利、もう半分を変動金利にすることで、金利上昇時のリスクを分散しつつ、金利低下時の恩恵も一部受けられるというハイブリッド型の方法です。ただし、仕組みがやや複雑なため、金融機関やファイナンシャルプランナーに相談しながら慎重に設計することが大切です。
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結論
住宅ローンにおける金利選択は、人生の資金計画において非常に重要な分岐点です。変動金利は「コスト重視」、固定金利は「安心重視」とも言えますが、どちらが正解かは一人ひとりの経済状況や価値観によって異なります。経済情勢、返済計画、家計の将来像を多角的に検討したうえで、自分にとって最もリスクの少ない選択肢を選ぶことが、失敗しない住宅ローンの第一歩です。焦らず、じっくり選びましょう。
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